ハモンドオルガンはモンスター級に複雑な電気楽器です。現在ではこのオルガンはシンセサイザーの1つとして解釈出来ます。何故ならば、このオルガンは91の異なる周波数を扱い、それをドローバーで音量制御出来るように、鍵盤1つ1つに結線されています。
サンプルベースの音源は実機の質感を再現するのにベストな手法ですが、そこには大きな問題を抱えています。ドローバーサンプルを同時に重ねた場合、つまり同じ周波数(音程)を演奏した場合、位相によるキャンセル効果が発生します。このことにより、同じ鍵盤をもう一度押さえた場合、同じ音を発することが出来ません。
AcousticSamplesではこの問題を解決する為に、実際のサンプルを使用しつつも91の周波数をシンセサイズのアプローチで扱うことにしました。このことで、実際にレコーディングされたオルガンサウンドと実機のドローバーを操作した際の柔軟さの両立に成功しました。
そしてバージョン2で4モデルに増え、最新のロータリースピーカーシミュレーターを装備しました。(既存ユーザーは無償バージョンアップ)
サンプルベースのシンセサイズ
91の音色を収録し、その挙動や変化をすべて再現すべく、念に念を重ねて測定をしました。鍵盤接点、抵抗結線、フォルドバック、ドローバー、ペダル、パーカッション、全てのボタン類、実機に装備されている何もかもを徹底的に解析しました。そして可能な限りのビブラート/コーラス効果を得られるように、6つの設定すべて、位相ズレのないようにサンプリングをしました。そして、サンプルベースのシンセサイズテクノロジーを採用することで、実機に忠実な質感と挙動の再現に成功しました。
ドローバー
上段と下段それぞれに9つのドローバーとベースペダルに3つのドローバーを用意しました。ドローバーのボリュームカーブは実機操作と同様の変化をもたらすように念入りに設計しました。従ってどの設定でも本物オルガンと同じサウンドを得ることが出来ます。
ロータリースピーカーシミュレーション
ロータリースピーカーには逸話が残っています、ハモンド氏は”Leslie/レスリー”スピーカーを嫌い、オルガンとセットで販売することを許可しませんでした。事実、このオルガンは”ハモンドトーンキャビネット”と一緒に売られていました。しかし、レスリー氏はこれに屈することなく、ハモンド氏が接続を変えた新機種を出す度に、それに対応したモデルを作り続けました。
異なる4つのアイコンモデル
どのトーンホイールオルガンもそのモデルだけが持つ特徴があります。ボイシング、ビブラート、パーカッション、ボリュームカーブ、トーンジェネレーターの音色と音量、クリック、倍音など、様々な要素が、オルガンサウンド形成します。
AcousticSamples では、バージョン2のために、1968年製のB3、1960年製のC3、1969年製のC3、そして1965年製のA-100を用意しました。
チューブサチュレーション
Leslie 122のチューブサチュレーションは、他の真空管アンプとは異なります。AcousticSamplesとUVIの技術提携の中には、IRのみならず、このアンプの特性と魅力を充実再現したデーターも含まれています。そしてローターホーンのサチュレーションも再現します。このことで、これまでにない非常に実機に正確なサチュレーションを実現します。
このオルガンの音色はロータリースピーカーなくして、オルガンとは呼べません。バージョン2では、UVIにも提供したレスリーモデルを用いた最先端にして最高のロータリースピーカーシミュレーションが装備されています。(要UVI Workstation 2.6.10以降)
これにAcousticSamples独自のインパルスレスポンス(IR)を用意したことで、その完成度は実機と違わないものになりました。更にマイク設定を変えることも可能です。モノとステレオをドラムとホーンそれぞれで選ぶことが出来ます。実際のレコーディングと同様、楽曲やミックスに合わせて最良の設定を決めことが可能です。
先進的なパーカッションシステム
パーカッションシステムはB-3やC-3オルガンで装備されました。この機能はその名の通り、オルガンをパーカッシブな楽器の代替えとして利用する為に生まれたものです。その音は耳にした通り、単なる追加サンプルでは無く、細部に亘って再現をしましたオルガンのパーカッションは単なる追加サンプルではありません。最初のノートを演奏した際のボリュームディケイエンベロープとして、すべての鍵盤を離すまで再スタートすることはありません。
この部分の再現も完璧です。パーカッションをオンにしたり、セカンドからサードに切り替えたりすることで、そのサウンドを思う存分堪能出来ます。このセクションも思う存分、時間をかけてカスタマイズ可能です。ボリュームと周波数を調節して、自分だけの”至福”サウンドに仕上げることが出来ます。
リアルキー接点モデリング
実機では9つの接点が鍵盤1つ1つの下に連なっています。そしてこのことが打鍵時の小さなクリックノイズを生み出します。この音源のクリックはベロシティ対応にすることで、打鍵毎に異なるクリックサウンドを生み出し、実機と同じタッチフィールを実現します。
ハモンド氏はこれを嫌っていましたが、構造上この音のないハモンドオルガンは存在しませんでした。この音源ではクリックを専用ボリュームで調節出来ます。
改造出来るオルガン
オルガンの改造は多く存在し、そのほとんどは手法が異なります。この音源では一般的によく行われている改造に対応出来るように様々なパラメーターを用意しました。トーンジェネレーターの音量変更が可能です。実際の改造ではありませんが、よくあるリビルドです。(トーンホイール毎に設置可能)
すべてのオルガン奏者は自分のオルガンを好きなように操りたいと考えています。そして好きなように改造出来るオルガン奏者の夢がここにあります。実機でトーンホイールのピックアップ付近の抵抗を変えてドローバーの音量調節をするように、ドローバー毎の音量を調節することが出来ます。同様によくあるパーカッションの改造も、B-5なら実機と同じように出来ます。
3段鍵盤
実際のオルガンでは2段の鍵盤とベースペダルが用意されています。上2段の鍵盤はパーカッションシステムの有無以外に違いはありません。
この音源は段毎に異なるMIDIチャンネルを設定することが出来ます。また、スプリット設定で、同じMIDIチャンネル、MIDIキーボードで演奏することも可能です。
ベースペダルの音域は”フォルドバック”設定で上段または下段鍵盤に割り当てて、ペダルなしのベース演奏が可能です。
この音源にはベースペダルに3つのドローバーが用意されています。また、サスティンが伸びたストリングベース改造にすることも出来ます。
ドローバータイプのMIDIコントローラーを使用して実機と同じように操作することが出来ます。また、画面上のパラメーターをその場でMIDIコントローラーに割り当てて、操作することが可能です。
プリセット
通常のメイン画面では上段、下段毎にプルダウンメニューもしくは左右のボタン(<と>)で200あるドローバー設定のプリセットにアクセス出来ます。
“PRESETS”ボタンをクリックするとプリセットを管理する画面が表示されます。オリジナルの設定を保存する際や他のユーザーの方とプリセットを共有したい場合はこの画面で行います。
約200のドローバープリセットが用意されています。そしてプリセットは保存、削除あるいはプリセットキー(上段もしくは下段)に割り当てることが出来ます。これらのプリセット設定にはジャズやゴスペルと一般的によく使用されるものが含まれています。
これらのプリセットは演奏しながら切り替えることが出来ます。演奏や曲に合わせて最適な設定を見つける際に便利です。プリセットは設定を直接保存と読み込みが出来ますので、ライブラリー自体をリロードする必要はありません。
プリセットキーの音色割り当ては自由で、一般的な音源に装備されているキースイッチと同じ操作でプリセットを切り替えることが出来ます。演奏しながらの音色(ドローバー)設定の切り替えに便利です。
自由なMIDIアサイン
ドローバー、ペダル、すべてのパーカッションノブをCCアサイン画面で簡単に設定できます。また、B4II/HX3、Nord、HKX、VB3、B4Dなど市販のオルガン鍵盤/コントローラーの為の設定プリセットも用意されています。
ドローバーはMIDIコントローラーでリアルな操作感を演出するため、インバート(逆)設定することが可能です。
画面上すべてのパラメーターはMIDIラーン機能で、MIDIコントローラーをその場で割り当てることができます。
選べる充実したアンプとスピーカー
AcousticSamplesでは様々なモデルのロータリースピーカーだけではなく、ビンテージロックサウンドに最適なアンプを数モデル用意しました。ヴィンテージオルガンとロータリースピーカーの組み合わせは音楽ジャンルに関係なく、広く使用されています。特にジャズ、ブルースやゴスペルミュージックなどではこのセットは一般的です。しかし、ロックやポップスにおいてはその限りではありません。通常のスピーカーを用いられる場合もあります。
その場で鳴っていると錯覚する程のリアルサウンド
この音源は他のAcousticSamples製品と同様、可能な限りリアルなサウンドと演奏フィールを実現します。ここにはレスリースピーカーは勿論のこと、アコースティックのメカノイズを含め、実機から発せられる全ての響きがこの音源に収録されています。
【機能と内容】
・1.25GB(FLACロスレス圧縮)
・サンプルベースのリアルトーンホイールモデリング、約1,100のサンプルを使用
・4オルガンモデル:B3 1968、C3 1960、C3 1969、A100 1965
・フルコントロール可能なドローバー設定
・約200のドローバープリセット、演奏しながら切り替え可能
・キースレクター(キースイッチ)によるドローバー設定切り替え(上段と下段個別)、画面上の黒色鍵盤域
・サンプルベースのビブラートとコーラス効果(C1、C2、C3、V1、V2、V3)
・高精度で再現されたパーカッションシステム、幅広いカスタマイズ機能を装備
・実機のカーブを忠実に再現したボリュームペダル操作
・キー接点モデリング
・フォルドバック機能(低音域の設定)
・一般的なオルガン改造に対応(フォルドバック無効、パラダイスボタン、音量ドロップ無効、ドローバー音量調節、パーカッションとドローバーの置き換え、リチャージタイムなど…)
・2段の鍵盤とベースペダルの3段仕様(個別のMIDIチャンネル、または1つのキーボードで演奏できるスプリット設定を装備)
・レガートベース演奏の為のストリングベースモード
・高性能でカスタマイズ可能なロータリースピーカー(UVI製のフィジカルモデリングエフェクト+AcousticSamples独自のIRと設定)
・最先端のロータリースピーカーシミュレーター
・ロータリースピーカーのスピードコントロール(スロー/Chorale、ブレーク/Breke、ファースト/トレモロ)
・ロータリースピーカーモデルの切り替え
・レコーディングマイク設定(ホーンとドラム個別設定)
・シンプルで簡単設定のMIDIコントローラー割り当てとホストオートメーション設定
・市販オルガン鍵盤用の設定プリセット:Nord Stage、C1/C2、Electro、HKX、VB3
・チューブディストーション、リバーブ(スピーカー前)と3バンドEQを装備
・鍵盤、スピーカー、ボタンやノブ類の操作音(実機の演奏や操作感を実現)
・サウンドと機能に優れたUVI エンジンをベースにした音源
登録
この製品にパッケージ、インストールディスクはございません。製品をお買い求めいただくと、シリアル番号を発行いたします。発行されたシリアル番号を AcousticSamples のウェブページで登録をすると iLok ライセンスの発行とダウンロードリンクにアクセス出来るようになります。
製品登録には AcousticSamples のアカウントと iLok アカウントが必要です。どちらのアカウントも無料で作成できます。
UVI Workstation を使用した音源です。UVI インストゥルメントを使用するには、UVI Workstation が必要です。 最新バージョンの UVI Workstationは uvi.net/downloads から無料でダウンロード出来ます。
※この音源素材はUVI Workstation上で動作します。UVI Workstation自体はフリーでダウンロードできます。
対応フォーマット
- Audio Units、RTAS、AAX、VST または スタンドアローン(単体動作)
- Audio Units、AAX、VST (Sparkverb)
対応システム
- Mac OS X 10.7 以降 - OS X 10.10 Yosemite対応 (32bit と 64bit)
- Windows 7 以降 (32bit と 64bit) *Windows10対応
必要条件
- ディスクドライブ : 7200 回転仕様のHDD または SSD(ソリッドステートドライブ)
- 4GB RAM(8GB以上推奨)
- iLokアカウント(無料) - ライセンスアクティベーションのためのiLokキーは必須ではありません
- iLokアカウントの取得(無料)とインターネット接続環境があれば可能です
- UVI Workstation
動作基準テストの上、適合したソフトウェア
Digital Performer 7 & 8, Pro Tools 10 & 11, Logic 9 & X, Cubase 7 & 7.5, Nuendo 6+, Ableton Live 8 & 9, Studio One 2, Garage Band 6, Maschine 1 & 2, Tracktion 4, Vienna Ensemble 5, MPC Renaissance, Reaper 4, Sonar X3, Main Stage 3, MuLab 5.5, Finale 2014, Sibelius 7